斬首
この扇風機、実は別の箇所が故障しており捨てようか迷っていたところでした。
この夏の初め頃に、羽根を止めるプラスチックのキャップが突然割れ、「ゴロゴロガロン!」という、ものすごい音と共に羽根が踊り出しました。
びっくりして回転を止め、キャップを確認。割れてますが、そおっとはめればまだ使えます。“モッタイナイ”精神で、彼を使い続けることにしました。
しかし数日使い続けていると、また突然キャップが取れ、羽根が「ゴロゴロガロン!」と踊り始めます。またそっとキャップを締めて使います。
風量はもちろん「弱」。「中」にした瞬間、ぶっ飛ぶので怖くて使えません。
お客さんが来たときも、彼を使いましたが、突然羽根が踊り出さないか心配でした。
捨てるか、使うか。思案しながらも僕は、彼を使い続けました。
「弱」でしか生きる術がない扇風機。
彼はもう、主人の風呂上がりに「強」の風を送ることは出来ません。
ただ風を送るという、扇風機の本文を全うできないまま、突然の発作に怯えながら使われ続けた日々。いつ捨てられるのか、主人の心の迷いを察し続けた毎日。
そして今日。
彼は自ら静かに首を落とし、その生涯を閉じたのです。
………。
いやあ~、それにしてもこの扇風機。突然首が落ちるんだもの。びっくりしたなあ。さすがにもう使えねえや。
新しいの買おっと。
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愛知県北名古屋市に住むたきちゃんの日常。
印刷・動画・Web制作の株式会社龍巳堂で社長をやっております(^_^)
仕事や趣味の他各種団体での活動などを書いております。
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